1936年8月1日、アルジェリアのオランの上流階級の家庭に産まれ、幼少期を過ごす。
父シャルルは保険会社や、映画チェーンを経営していた。
母ルシアンはスペイン人で、Yves Saint Laurent にファッションや美術の面白みを教えた人である。
彼が現在のファッションに残した功績は大きい。フランス政府から3度勲章を受けており、フランスが誇るモード界の象徴と言える。またコレクションに有色人種のモデルを初めて起用し、モード界での人種差別的意識の廃絶にも貢献した。彼はゲイで、ビジネスパートナーのPierre Bergeと公私ともに深い関係にあり、生涯を添い遂げた。晩年はモロッコで余生を過ごしたという。
メゾン Christian Diorとの関係
1954年、Yves Saint Laurentはパリのオートクチュール協会の学校でデザインを学ぶ。
翌年、当時のVOGUE編集者の紹介によりChristian Diorと出逢う。才能を評価され彼はメゾンChristian Diorでアシスタントデザイナーとして働き始める。
Christian Diorの死後、21歳の若さでメゾンChristian Diorのトップデザイナーの地位に就いた。
メゾンChristian Diorで発表した最初のコレクションはAラインの美しいドレスで、Trapezeと名付けられた。
その後、彼はアルジェリア独立戦争の為に徴兵され母国での戦闘に赴いた。しかし20日後、彼は鬱病により除隊。精神病院への入院を余儀なくされた。
帰国後、メゾンChristian Diorに彼のポストは無かった。
このことが彼とメゾンChristian Diorの確執を生み、生涯彼を陰鬱なムードに包み込むことになる。
彼とメゾンChristian Diorの確執については彼の愛弟子 Hedi Slimane がDior Hommeのデザイナーとなり、コレクションを見に来るまでモード界のパンドラの箱として扱われていた。
メゾンYVES SAINT LAURENTの設立
Pierre Bergeはアメリカの富豪から10億フランの融資を得て共同でメゾンYves Saint Laurentを設立した。
1962年、彼は初めてのコレクションを発表する。<Le Caban et Trench> ピーコートやトレンチコートをレディースのオートクチュールの世界で表現し、大きな評価を得た。これは彼がアルジェリア独立戦争に一時的に加わり、得てきたミリタリーウェアの <Esthétique> 美学だろう。
このコンセプトは今のメゾンにも受け継がれており、メゾンYves Saint Laurentの源流とも言える。
1965年に発表した画家モンドリアンの作品を使用したドレスもまたYves Saint Laurent の代表作である。
Yves Saint Laurent の作品について語る時に、忘れてはならないアイテムがある。スモーキングジャケットである。
1966年のコレクションで彼は世界で初めて女性のコレクションで使用した。その後も仕立てられたサファリルック・パンツやツナギ等、レディースウェアの世界に男性的服装のエッセンスを加えたのだ。
2002年にオートクチュールのデザインを離れるまで常にファッションデザインの先端にあり、多くの女性を魅了した。
Prêt-à-Porter の開始
1966年Yves Saint Laurentは彼の洋服を裕福な女性だけでなく全ての女性に着て欲しいと考え、Saint Laurent rive gauche という既製服のブティックをパリに作った。Yves Saint Laurentのメンズの既製服の販売が始まるのはその3年後である。
1997年には既製服のデザインを次の世代に託すことを考え、レディースをアルベール・エルバス、メンズをHedi Slimaneに任せる。
Hedi SlimaneはYves Saint LaurentとそのパートナーPierre Bergeの寵愛を受けており、2000年のコレクションを最後にメゾンYves Saint Laurentを去るまでメンズウェアのディレクションを担当した。その後Hedi Slimaneは2012年に総合アーティスティック・クリエイティブディレクターとしてメゾンYves Saint Laurentに帰ってくる。
PPRに買収された後、2001年から既製服は男女共にデザインをトムフォードが手がけ、ブランドイメージの向上と発展に大きな貢献を果たし、2004年からはステファノピラーティがアーティスティック・クリエイティブディレクターとして、メゾンYves Saint Laurentのモード界での地位を守ってきた。